promised tune
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「教えてほしい事があるんだ」 何なりと答えよう、愛しき焔の子よ 「俺は…アッシュを探したい。アッシュきっとは死んでなんかいない。まだ…だから…」 ぎゅっと、拳を握る。 ローレライが複雑そうな表情を浮かべた。 聖なる焔の礎が今置かれている場所は、私にも分からない。だが、分からないということ自体が即ち…答えでもある 「答え?」 白い世界の中で、ローレライの輪郭はぼやけている。 ルークはまぶしさに目を細めるようにしてその顔をうかがった。 ルークよ、私の存在は一つではない かつて私は世界の至る場所に存在した。無数の私として。ふとした歪みに溜まる音素の集合体として しかしユリアが…私の核を必要としたのだ ユリアは私と対話しようとした。そのためには、淡い音素の集合ではなく、中心となる核が必要だったのだ だから私はそれまで存在しなかった核を…鍵を作り、彼女に与えた そしてユリアが私を捕らえようとしたとき、鍵が剣と宝珠に別れ、私もまた二つになった 聖なる焔の礎に干渉できないという事は、ユリアの力、もしくはもう片方の私の力がそれを妨げているのだろう それはヴァンが言っていた、完全なるローレライと関係があるのだろうか。 ルークがそう言って首を傾げると、ローレライは小さく頷く。 ローレライを捕らえるユリア。それに抵抗するローレライ。 その姿を、言葉を、ルークは思い出す。 「アクゼリュスが崩壊したとき…ユリアを見たんだ」 《…共に踊り続けましょう、滅びを迎えるその日まで…》 優しく、悲しく、冷たい響き。 それは私の意識に同調したためだろう 「同調…?」 お前達がコンタミネーション現象と呼ぶものと同じように、お前の精神や肉体を全て私の中に取り込んだのだ ルークとアッシュ、それぞれの肉体は鍵と同化している お前と同化した宝珠は音素を拡散させる性質を持っているため…その力を利用してお前自身を拡散させた 自分が一度ばらばらにされたと聞かされ、ルークの頬を冷や汗が滑り落ちる。 「う…それって、ひょっとして戻れない可能性もあったんじゃないのか…」 じっとローレライを見つめると、わずかに視線を逸らす。 ……いずれ剣≠ェ宝珠を呼ぶ。精神レベルで解離しない限り、その可能性は低かっただろう 「剣…は、やっぱりアッシュに?」 そうだ。しかし…その同調は私がやったことではない この私は栄光を掴む者に捕らえられ、抑え込まれていた。手出しをしたくとも、干渉する術を持たなかったのだ 「じゃあ…」 ルークがさらに口を開きかけたとき、いきなり誰かに肩を揺さぶられた。 「…!?」 *** 壁自体が淡い光を放っているかのような、ラジエイトゲートの内部。 パッセージリングへと続く扉の前でイオンは足を止める。 「ここから先は、僕一人で行きます」 「何言ってるんだい、そんな危ない事させられるわけないだろ」 振り返ったイオンに、ノワールは瞬きして呆れたような声を上げた。 「この扉はもともとローレライの鍵で封印がされていました。扉の向こうに入るものを傷つけるような魔物や仕掛けはないでしょう」 「でもねぇ…」 ノワールは首を振る。 「イオン様、我々はあなたを無事ここから脱出させるまでお側を離れるわけには行きません」 「そうでゲス。アッシュさんとも約束が…」 ウルシーとヨークも口々に止めるが、イオンは唇を噛んで頭を下げた。 「すみません…これは僕の我侭です。大地降下という大きな作業に集中するためにも、どうか…一人にしてください」 ローレライ教団の導師という立場のイオンに頭を下げられ、ノワールたちは途方にくれたように顔を見合わせた。 「ど…どうしやス?」 「…わかったよ。でも、まずあたし達が中を覗いて安全を確かめてからだ。あとこれだけは覚えといておくれ」 深い溜息。 「…?」 「命をかけて守るって約束なんだ。アンタに何かあったらあたしらの命も…ないってことをさ」 「はい。ありがとうございます」 顔を上げて、イオンは嬉しそうに微笑んだ。 |