promised tune



ルークは肩の上のミュウを、そっと地面に下ろす。
「ご主人様!ミュウも一緒ですの!一緒がいいですの!」
「なあミュウ…俺一人で行きたいんだ。ちょっと待っててくれよ」
なおも足にしがみついて離れようとしないミュウの頭をそっと叩く。
「みゅうぅぅぅ…」
「みんなも、ちょっと下がっててくれ」
そう言ってぎこちなく笑むルークを見て、ガイが溜息をついた。
「俺は一緒に行くからな。あいつの傍にお前を一人でなんてやれるかよ」
「私もガイに賛成ですね。あれだけ恨みの深そうなヴァン謡将のことです、用心しすぎて困るという事はありませんよ、ルーク」
ルークはゆっくりと首を振る。
「いや…俺一人で行く。みんなは何かあったときのために…譜術障壁を」
「ルーク…」
「…わかりました。」
頷いて、ジェイドがガイの腕を引く。
「ジェイド!」
「本当によろしいのですか?」
引きずられながら声を上げるガイに、冷たいとも思える声でジェイドが言う。
「ルークの判断が最善だと、私も思います。特にティア、ルークに何かあればあなたが大地降下の要です」
「嫌ですの!ミュウは一緒に行きますの!」
「だめだってば、ミュウ」
アニスに抑えられ、ミュウがもがく。
「くそっ…なんでこういうときに力になれないんだ…」
「やれやれ、ルークの背中が今までになく大きく見えますね」
「ご主人様〜…」
広間の壁際、パッセージリングへと続く扉の前で、ジェイドたちはルークを振り返る。
「何事もないことを…祈りますわ」
「私も信じるわ、兄さん…」
ルークはゆっくりとヴァンに歩み寄った。
ヴァンはルークに向けて腕を差し伸べたまま、時折苦しそうに息を吐く。
リグレットは感情の読み取れない無表情で、近づいてくるルークに視線を向けた。
「師匠…」
ヴァンの前に片膝をつく。
ローレライを返してやるとヴァンは言ったが、それがどのようなやり方なのかルークは知らない。
それでも、方法さえあるのであればローレライは自分の中に戻ることを望むだろう、という予感があった。
しかし、それはどんな影響をもたらすのだろうか。。
万が一超振動のような力の暴走が起こったら、周りに居るものも巻き込んでしまうかもしれない。
最悪の場合パッセージリングを壊してしまう事すら考えられるのだ。
それでも、アッシュが消えたのがヴァンのせいでないとしたら、アッシュを探す方法はおそらくこれしか…ローレライの力を借りて第七音素の共鳴を利用することしかない。
アッシュの存在が自分にとって以下に大切か、改めて思い知らされる。
「ユリアの預言に…踊らされるだけの世界になど、何の価値もない」
ヴァンが口を開く。
声はほとんどかすれていたが、ルークが聞き取れるだけの力を持っている。
「やってみるがいい。お前にどこまでできるのかを」
「はい…師匠」
その会話はかつてバチカルの屋敷でヴァンに師事し、剣の稽古をつけてもらっていた時のようで。
懐かしさにも似た気持ちがルークの胸に沸き起こる。
「だが…もし再びあの地獄の中で目覚める事があれば…もうお前に何かを期待する事はないだろう」
しかしヴァンは冷たくそう続けると、まっすぐにルークを見た。
「私は諦めたわけではない。予言から完全に解き放たれた、新しき世界を…」
そう言いきるヴァンの瞳の中には、なお強い意思の輝きがあった。
「星が…動き出しているぞ…」
言葉の終わりを待たずに、ヴァンが握っていた拳を開く。
その指先から、強い光がほとばしった。
光は輝く鎖となって細く伸び、ルークの眼帯を跳ね飛ばす。そしてまっすぐ、その左目へと突き刺さった。
同時に弾ける光に、辺りが真っ白に眩む。
「う…わあああぁぁぁぁっ!」
それは受け取るというよりも、押し込まれるというほうが正しいだろう。
船の上でローレライの力を抜き取られたときのような、灼熱感と激しい痛み。
ルークは思わず悲鳴を上げてのけぞった。
「ルーク!?」
誰かの叫び声が遠くに聞こえる。
それに応える余裕もなく、ルークはまた悲鳴を上げた。





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