promised tune




「ちょ…ちょっとアンタ、どこから降ってきたんだい?」
聞き覚えのある女性の声に目を開けると、そこは舞台の上だった。
「!」
眩しい照明が幾筋も足元へ延びている。
板に描かれた草花や、建物の壁を模した大道具、そしてそのあちこちで、台本を手に芝居の稽古をする人々。
そして目の前には、腰に手を当てて胸を突き出すような挑発的な姿勢でルークを睨んでいる女性―――ノワールの姿があった。
「お前は…漆黒の翼の…!」
「アッシュの旦那…じゃないね、アンタは。いったいいつの間にこの島に来たのか知らないけど…さては導師イオンのことだね?」
「イオン?イオンがどうしたんだ?」
ルークはただ目を瞬く。
辺りには詰まれた木箱。
壁に作りつけられた棚の上には小さな人形が幾つも並び、その横のクローゼットには色とりどりの衣装がかけられている。
「俺…どうやってこんなところに…」
星闇の中を落ちたと思ったのに、今は部屋の中にいる。
この場所にも覚えがあった。
何枚も壁に貼られたポスターには、人形劇や冒険活劇の一場面と暗闇の夢≠フ文字。
義賊漆黒の翼≠フ本拠地、ナム孤島である。
「ああもう!話が通じないね!アッシュの旦那は何をしてるんだか…」
その時、舞台袖から別の声がした。
「ルーク?」
「!…その声は…イオンか?」
袖幕の分厚い布を押し開けると、そこには絵本を手にしたイオンの姿があった。
椅子に座る彼の周りには、子供たちが輪になって床に座っていた。
どうやら本の読み聞かせをしていたようである。
「ルーク!どうしてここに?」
「それはこっちのセリフだって。イオンお前…いつの間にこんなところに来たんだ?ディストは一緒じゃないのか?」
「おやおや、これは赤毛のぼっちゃん」
奥から現れたのは長身の男、ヨーク。彼は子供たちを別の部屋へ行かせると、ルークに向かって大げさな身振りで一礼した。
「我らの誇り高き町、ナム孤島へようこそ。お客人」
「お前たちがイオンをここへ攫ってきたのか?」
「んまあ、人聞きの悪いことを言ってくれるじゃないかい。保護だよ、保護」
ルークの問いに答えたのは、ウルシーをつれてやってきたノワールだった。
「僕をここへ連れてくるように手配したのはアッシュですよ」
イオンが苦笑した。ルークが知らないとは思っていなかったのだ。
「アッシュが…?じゃあやっぱり、アクゼリュスから離すためにここに…?」
しかし、ルークの言葉にイオンは首を傾げる。
「アクゼリュスがどうかしたのですか?それにディストとは…六神将のディストのことですよね」
イオンが口元に手を当てて考え込む。
「ルーク、僕があなたたちの元を離れたのは、バチカルです」
「ああ、でもその後、ザオ遺跡で…」
「いいえ…それは僕ではありませんよ」
「え?じゃあ…あれは…」
イオンの表情に、ルークは違和感の正体を思い出す。
「そうか、あれは…シンクだったのか…」
「僕は今世界で何が起きているのか、ほとんど知らないんです。ルーク、教えてください」
「そうだ。あの後…」





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