promised tune
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「おじゃましまーす」 「狭くて申し訳ないけど、二部屋は用意できると思うから…少し待っていてもらえるかしら」 「そんなに気を使わなくても良いですよ、ティア。この魔界で瘴気のない場所にいられるというだけでもありがたいんですから」 「ええ、十分ですわ」 ティアの家は、ユリアシティの一般的なユリアシティの居住区域とは別の場所に設けられていた。 会議室や市長の家など町の中心機能が収められた建物とひとつながりの外壁は、ユリアシティ特有の不思議な色合いの物質で覆われていたが、一歩中に入るとそこは予想外に普通の家≠セった。 出された食事も、外殻大地と変わらないもの。 「ここでは植物がほとんど育たないから…食料や薬は外殻大地から仕入れているの。だから貴重品扱いされるし、値段も外殻大地よりずっと高いわ」 「食料や医薬品の仕入れができ…なおかつティア、あなたがこれまで外殻大地にいたということは、この街と外殻大地を往復する方法があるということですね?」 「はい。ユリアロードと呼ばれる特殊な道があって、人や小さな物ならば外殻大地と行き来することが可能です」 「ユリアロード…ってことはそれもやっぱり、始祖ユリアの?」 「ええ。ユリアが拓いたものだと言われているわ」 「ユリア…ルークと共に見えた、あの女性がやはりユリアなのでしょうか」 「わからない。はるか昔の人だから、肖像画くらいしか彼女の姿を伝えるものは残っていないのだもの。でも…」 ティアは辺りを見渡す。 「この街を造った人だと考えると、自分の姿を映像で残すことくらい出来そうに思えてしまうわ…あれがアッシュを通じて見えたことを考えると、ユリアではなくローレライの力なのでしょうけど…」 「なんていうか…家の中にいると、ここが魔界だってことを忘れそうだよね」 つられるように、アニスが部屋を見渡して呟く。 「ちょっとくらい見学させてくれてもいいのにね。ここから先は入れません、お引取り下さい!って…そればっかり」 「他の住居も同じような内装なのでしょうか」 頬を膨らませるアニス、首を傾げるナタリアに、ティアが苦笑する。 「…ごめんなさい、私も居住区域には殆ど入ったことがないからわからないの」 「え?だって、ティアはここで生まれたんでしょ?」 「そうだけど…」 視線が集まる。ティアは俯くと、一つ息を吸った。 お茶のカップをテーブルに戻して、背筋を伸ばす。 「私の母と、兄は…ホドに住んでいました」 「!」 それはジェイドとナタリアに向けた言葉。その時、ホドはマルクト領だったのだ。 そして、キムラスカの侵攻を受けた際にマルクト軍によって、それは崩落させられた。 「十六年前、戦争によってホド島は消滅しました。アクゼリュスと同じように、パッセージリングが消滅してしまったために崩落して…」 「ホド戦争、ですか…」 ジェイドが苦笑する。ホドにあったのはジェイドの立てたフォミクリーと超振動の理論を研究するための施設だった。 「ティアは、助かったんだ…?」 「私はその時まだ母のお腹の中にいたわ。きっと兄さんが…譜歌を歌ったのだと思う。この街にたどり着いた二人は、ユリアの血縁ということもあって…市長であるお祖父様に保護されたの」 「それで、ティアの家はここにあるのですね…」 ここは監視者の街。世界が預言どおりに正しく動いているかを見守るための場所。 外部からの移住者にとって、居心地のいい街ではないだろう。 「あの戦争をきっかけに、ヴァンが世界を憎み始めた…それは確かなことだ」 アッシュが言う。六神将としてヴァンの元にいる間に、ほんの僅か彼が語った言葉。 「兄は、キムラスカとマルクトを憎んでいました。預言に縛られることがどれほど愚かしいかと言って…でもそれでも、神託の盾騎士団としてローレライ教団を守る職に就いた兄を、私は信じていました」 どうしてそこまでヴァンが預言を憎むのか。その問いに、ティアは首を振る。 「私が生まれる前は、聞いても兄は教えてくれませんでした。でもきっと…コーラル城でルークが言ったことは、合っているのでしょう」 ティアのため息と共に、沈黙が満ちる。 その空気を振り払うように、ティアはむりやり笑顔を作った。 「今日はもう遅いわ。ここで休んで、明日お祖父様のところへ行きましょう」 「そうですね。アッシュの言うセフィロトを使った外殻大地への機関方法のためには、私たちだけではなくこの街の持つ技術も必要です」 「ああ…なんだか魔界に着てからすごく時間がたったような気がしますよぉ…ふわあぁ」 アニスの大きなあくびを合図に、それぞれが席を立った。 「それじゃ、おやすみなさい」 「おやすみなさい」 *** |