promised tune
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*** 深淵と天を繋ぐもの この星の記憶紡ぐところ 祈りよ形を成せ 残されし第七の座に旋律を 永久に結ばれし黄金の鎖よ 時を超え我が前に力を示し 彼方なる光を此処に留め置かん *** ルークはぶるっと身体を振るわせた。 ティアが歌う大譜歌とは、雰囲気が全く異なる。 聞いているだけでその歌にこもった力を感じ取ることが出来るのだ。鳥肌が立つような、恐怖と畏敬を呼び起こさせるような、強大な力。 ユリアが言葉を紡ぎだす度に、答えるようにローレライの輝きが明滅を繰り返す。 ルークの前で二人の姿が徐々に薄れ、それと同時にあたりも暗くなっていった。 「ローレライ!ユリア!」 どういうことなんだ?とルークが問いかけようとした時、目の前が再びぐにゃりと歪む。 引き戻されるように全ての光は消え、ルークの周囲はまた闇に包まれた。 「今のは…何だったんだ…?」 ローレライが自分に何かを伝えようとしているらしいことは理解できた。 でも、今の自分にはそれが何だったのかわからない。 「譜歌の意味…ティアならわかるのかな」 溜息のように呟いて、ルークは辺りを見渡す。 「ここはどこなんだろう…」 見渡してもただ、闇。 聞こえてくるものもない。耳が痛いほどの静寂。 魔界とも違う、例えて言うなら…深海のような。 「アッシュ…アッシュ!聞こえるか?」 まるで迷子になった子供のように、ルークは心細かった。 早く戻らなくては、と気持ちだけは焦るのに、ここがどこなのかさっぱりわからない。 途方にくれているルークは、ふと自分の姿が見えていることに気づいた。 「あれ?」 それは普段の見え方とは違う。 火の粉のように、ちらちらと瞬く金色の光がルークを包んでいた。 「…もしかして…」 ルークは右目を閉じる。 「うわっ!?」 そこはまるで星の海。 左目だけで見る闇の中には、あちらこちらに同じような輝きを見ることができた。 「音素の…光?」 その中でも一際目立っている、道のように続く光があった。 ルークの足元にも続いているその道に足先が触れると、不思議と地面の上に降り立ったような感覚がある。 恐る恐る一歩踏み出すと、確かに歩くことが出来るようだ。 「踏み外すとどうなるか、なんて考えたくないよな」 左目だけで見る世界を進むのは、手探りのようなひどく危なっかしい足取り。 ルークは一歩一歩慎重に、光の上だけを歩いていった。 どこまでも続く星闇。 しばらくは一歩ずつ足先で探りながらその中を進み続けていたルークだったが、目が慣れてくるに従って地上を歩くのと同じように進むことが出来るようになる。 漆黒と金の瞬きしか見えない世界を見渡す。 「早く戻らなきゃいけないのに…どうしたらいいんだ?」 まさか自分は既に死んでしまっていて、これはあの世≠ヨと向かう道なのではないのだろうか。 そんな不安が頭を過ぎる。 思い出してしまうのは、崩壊してゆくアクゼリュスの風景。 あのまま瓦礫に巻き込まれてしまったのでは… 「いや、弱気になってどうするんだよ」 ティアの譜歌に答えるように湧き上がったもうひとつの歌で―――恐らくはローレライの力で―――守られたような感覚はあったのだから、きっとまだ生きている。 今はただどこに繋がっているかもわからないこの道を進むことしか出来ないとしても。 この先自分に出来ることが…まだ残っていると信じたいのだ。 溜息をつきながら足を踏み出したルークは、その足元に何も触れないことに気づきギョッとする。 「…っ!や、ばい!?」 ふっと身体を包む落下感。 驚きに見開いた目の前を、音素の光が糸を引くように流れていく。 一瞬だったような、随分長い距離を落ちたような。 次の瞬間したたかに背中を打ちつけ、ルークはその痛みに思わず身体を丸めた。 「ぐっ…痛って〜!」 目を閉じたまま、手探りで背中から腰をなぞる。痛みの割には大きな怪我はしていないようだ。 「ちょ…ちょっとアンタ、どこから降ってきたんだい?」 すぐ近くで響いたのは女性の声。 「!」 恐る恐る薄目を開けると、そこはまたもや見覚えのある場所だった。 |