promised tune




聖なる焔の光(ルーク)よ…

ぐるぐると、世界が回る。
たくさんの感情が絡まりあって、微睡みのように心地よい。
五感が溶け合い、渦を巻く。
明るさの匂い、冷たい音、甘い闇。
しかしぐるぐると渦巻くものは、全てが自分の中にあったもの。
境界を失ったルーク≠ニいう存在から溶け出したもの。
そしてそれらは、何かを探している。
すぐ近くの鼓動。
前にアッシュと同調したときのような、温かく心地よい鼓動。
背中合わせに寄り添っているような、そんな安心感。
「…?」。
突然ルークは渦巻く世界から、煌く空間に放り出された。
きらきらとした粒子が乱舞する。
視力を失い、音素の輝きだけを見ることができる左目で世界を見たときのように。
光の粒が集まって、自分≠フ形を作っていく。
そう、ルークと呼ばれた存在の、形。
これは、自分だ。
そんな感覚が突然戻ってくる。
世界のすべてが溶け合っていた混沌から、自分とそれ以外という線引きが今、なされた。
キラキラと輝く自分の手を見下ろす。
すぐ隣に、もう一つ同じような存在があることに気付く。
まだその一部は自分と溶け合っている。けれど、少しずつ別れ、別の存在になっていく。

それが、どうしようもなく寂しい。

行かないで。遠くにいかないで。アッシュ…
「アッシュ…?」
その呼びかけは声にはならないが、相手に届いたことは分かる。
そっと繋がれる手と手。
温かな指先。
そして目の前に、一際強い光が現れる。
光は二つ。
「ローレライ…」
そう呟いたのは、自分だったのか、それともアッシュだったのか。
目の前の二つの光はぐにゃりと歪み、絡まりあう。
ルークとアッシュの存在が分かれたのとは、真逆のように。
強くひきつけあった光は、点に見えるほど強く収縮し、そして一気に拡散した。
「!!」
その光にはじき出されるように、意識は現実へと戻ってくる。
ハッと身体を起こす。
辺りは金色の炎に包まれていた。
そこがエルドラントなのかどうかも、もうはっきりしない。
そして燃え上がり揺らめく炎に取り囲まれているのに、不思議と熱さは感じないのだ。
「これは…」
覚えのある光景。
ルークは驚いて自分の身体を見下ろす。
「髪が…長い!?」
(まさか、最初の時に戻された≠ネんて事じゃ…ないよな?)
それはまるで時が引き戻されたかのようで、ルークは慌てて周囲を見渡す。
「何をきょろきょろしているんだ、お前は」
「アッシュ!」
隣で呆れたような顔をするアッシュを見つけ、安堵で思わず座り込む。
「おい…ルーク?」
「いや、だって、髪が…だからまた…かと」
気の抜けた声でぶつぶつと呟くルークに、アッシュはいつものように眉根を寄せた。
「何が言いたい?…まあいい、向こうの話が先だ」

聖なる焔の光(ルーク)、そして聖なる焔の礎(アッシュ)よ…

金色の炎がわだかまり、人の形を作る。
「ローレライ!」
目の前に姿を現したそのローレライは一人。
「それで、どうなったんだ?」
「…俺達がここにいることが答えなんじゃないのか?ローレライ」
ローレライは穏やかに微笑む。
「じゃあ…戻れたんだな?」
その手の上に、宝珠と剣が一体となったローレライの鍵が現れる。

お前達が再び分離する際に放り出されたようだ
この鍵が我が元にあることで…ユリアとの契約は完了した

「なるほど、俺達は晴れて自由の身という事だな?」
アッシュが苦笑する。

私はこのまま音素帯へ向かおう

ルークはハッと顔を上げた。
「あのさ、ガイはどうなったんだ?」

浮上する際に振り落とされたようだが…あの聖なる獣(チーグル)とともに地上へ降りたようだ

「そっか…無事なら良かった」

聖なる焔の光(ルーク)、聖なる焔の礎(アッシュ)、これを見るがいい

ローレライの示した先に、輝く道が現れる。
その道は大木の幹と枝のように、頂上へ向かうほど複雑に分岐していた。





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