promised tune
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太陽は既に西へと傾き、土地によっては宵闇に包まれている。 「おい、空を見ろ!」 「なんだ、あの光は…!?」 しかし空を駆け上がる巨大な光の塊に、世界は束の間明るく照らし出されていた。 ダアトでは膝をつき指を組んでその光に祈りを捧げる人々がいる。 シェリダンでは技術者達がロケット塔に押し寄せ、遮光器をつけた望遠鏡を取り合うように覗き込む。 にらみ合いの続くルグニカ平野でも、兵士達がその異変に気付いていた。 「将軍、あれは…なんでしょう」 唖然として訪ねる兵士に、ノルドハイムは何も言うことができない。 レプリカ軍の一部が光の粒に変わる。 「むっ、レプリカ軍の攻撃か!?砲撃用意!」 「いいえ、攻撃ではなさそうです」 双眼鏡を覗き込んでいたジェイドが、今にも砲撃を打ち込もうとする勢いの将軍を制止する。 「カーティス大佐…では、何だと?」 「レプリカ兵の身体が…光になって拡散しているように、見えます」 「拡散?」 ジェイドの見たとおりのことが起こっていた。 レプリカたちの一部が突然光に包まれ、そしてそのままふわりと形を失う。 その光は空を照らす光の塊――――エルドラントを追うように上っていく。 光に変わったのは全員ではなく、残ったものたちは呆然と空を見上げていた。 「何が起こったと思う、ジェイド」 椅子に腰を落とし、ピオニーが呟いた。 レプリカ軍の兵力はこれで半減したことになる。もう戦う気力もないように見え、つまりは今あの光によって、戦争は終わりを告げたのだ。 「レプリカの中には音素の結合が弱くなるものが見受けられます。あまり不確かなことは言いたくないのですが…何かによる共振動のようなものを受けて、結合の弱い個体が音素の乖離を起こしたのでしょう」 「何か?」 「…人間にできることだとは思えません」 「…そうか…」 ジェイドとピオニーもまた、空を見上げる。 *** 「イオン様!空が!」 突然昼間のような明るさを取り戻した世界に、あちこちから驚きの声が上がる。 グランコクマではアニスとフローリアンも窓へ駆け寄り、空を見上げていた。 「雨、上がったね」 フローリアンが笑う。 「光…?火?なんだろう、悪いものじゃないですよね?」 「アニス、僕はあれ怖くないよ?」 「そうですね。悪いものでは…ないと思いますよ」 ベッドから身体を起こさないまま、イオンは顔だけ窓のほうに向ける。 ふと耳の奥で、ルークに呼びかけられたような気がした。 「うわー…」 アニスが文字通り、窓に張りついて空を凝視している。 導くように世界を照らす光。 イオンは微笑んで、その光を焼き付けるようにゆっくりと目を閉じた。 瞼の裏にも乱舞する、金色の導。 |