promised tune
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*** 『あなたに封印術(アンチフォンスロット)がかけられたとき、どうやってそれを解いたか覚えていますか?』 『あの時は…何か変なもの頭に被らされて、アッシュと一緒に横になって、眠くなって…起きたら戻ってた…かな』 ふ、とジェイドが微笑む。 『その変なもの≠ヘ、音素振動数や波長を測るためのセンサーでした』 悪戯を告白する少年のように、ほんの少しの気まずさと、それ以上の達成感を含んだ言葉。 『あの時は貴方とアッシュの波長を同調させるための装置と言っていましたが、実はあなたとアッシュを同調させるのにそんな外部からの刺激は必要ないんです』 『あれ?じゃああの時、眠くなったのは…?』 『手を繋いでいたでしょう?』 『え…それだけ?』 ルークは目を瞬く。 『それだけです。完全同位体であるあなた達は強い磁石のように、ある程度距離を近づければ引き合い、手を繋ぐ程度の接触で簡単に同調します』 『そ、そうなのか…?』 これまで何度かアッシュの近くにいたことがあるが、眠くなったことなどなかったのだが。 そうルークが問うと、ジェイドは頷く。 『それはとても危険なことでもありますから』 真面目な話、世界で一番強い力と言ってもいいかもしれません。 困りましたねぇ、と肩をすくめる。 『あの同調は、一種のコンタミネーションです。簡単に同調を引き起こすほどの力…理論的には、近づけば近づくほどあなたたちはさらに近づこうとし、結果として大爆発(ビッグバン)は起きやすくなる』 『アッシュがあなたを避けるように世界中を飛び回っていたのは、それが一つの原因ではないかと思っています』 普段めったに同調が起こらないのも、アッシュが意識してそうしているからでしょう。 『っ…じゃあ、俺とアッシュは一緒にいちゃいけないってことか?』 『あくまで理論上のことです。大爆発(ビッグバン)が本当に起こるのか、まだ観測された例はないのですから』 ジェイドは窓の外を見つめる。 暗い海から聞こえてくる、海鳥の声。 『それでも夕方に話したとおり、大爆発(ビッグバン)とまでいかない場合でもコンタミネーションは危険を伴う』 『コンタミネーション…』 『原理はあるていど音素学を学んだものなら理解できるはずです。アッシュならばできるでしょう』 しばし、部屋の中にジェイドの歩くコツコツという音だけが響く。 『もしかしたら、私とユリアの思いは似ているかもしれません』 自分の生み出したものが人々に希望を与え、同時にそれ以上の絶望を与えてしまうものだったとしたら。 その絶望を少しでもなくしたい。 そして、できることならその行く末を見届けたい、と。 『ですから今から私が話すのは、実証されたことではありません。危険さえはらむ。しかし…もしかしたら、あなたたちなら大丈夫なのかもしれない…そういったお話です』 *** |