promised tune
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*** 「あー…生き返るな」 「ほんとだよ〜」 肩まで湯に浸かってガイがほっと溜息をつけば、タオルを頭に乗せたアニスが応じる。 部屋を出たところで、戻ってきたアニスと鉢合わせしたのだ。 グランコクマ一と名高い高級スパ、メガロフレデリカ・スパの会員権があると聞いて、アニスが来ないはずがない。 「アニスも…良かったな、イオンが無事で」 「本当だよぅ。もうイオン様が倒れたって聞いたときは、どうしようって思ったもん」 「泣きそうだったもんなぁ、アニス」 「へー。ガイってば、この状況でそんなこと言っていいの?アニスちゃん出血大サービスで背中を流してあげよっかなぁ」 「う、わ!悪かった、悪かったからそれ以上近づくのは勘弁してくれっ」 ルークたちは水着に着替え、スパの大浴場に浸かっていた。 外の寒さとは裏腹に、スパは湯に入っていなくても汗が浮かぶほど蒸し暑い。 会員制の高級スパにはこの大浴場だけでなく、大小のプール、泡の出る風呂、香りつきの蒸し風呂、マッサージにサウナ、水風呂と数多くの施設があった。 「ティアもピオニー陛下からもらった水着にすれば良かったのに」 アニスがにやにやと笑う。 ティアだけがピオニーの用意した水着ではなく、このスパで借りたものだった。 「あ…あんな恥ずかしい水着、無理に決まってるじゃない!」 「あら、でも私だって多少恥ずかしいですわ」 「まあまあ、女の子の水着姿ってのはどんなのでも艶やかなもんだぞ」 そういうガイの水着は、水着というよりもウエットスーツに近い。 「そんな歯の浮くようなセリフを言いながらも、微妙に離れた位置というのが悲しいですね、ガイ」 ジェイドは湯に浸からず、すぐ近くの椅子で優雅にジュースを飲んでいる。 一人だけバスローブにスリッパといった格好だ。 「でも流石に私のは…」 「まああの皇帝の一方的な趣味です、ぜひセクハラで訴えると良いと思いますよ」 「ちなみに…どんな水着だったんだ?」 「あのねぇ、水着っていうより…」 言いかけたアニスの口を慌ててティアが押さえる。 「アニス!もういいじゃない、それより…ルークは大丈夫なの?まだあちこち怪我の痕もあるみたいだけど…」 ルークは自分の身体を見回すと、パタパタと手を振る。 「大丈夫だって。それに怪我はティアやガイだって同じだろ?」 「まあ、ちょっとしみるけどな…」 「やれやれ、若者は傷の治りも早くて羨ましいですねぇ」 カラフルなフルーツの盛り付けられたグラスを手近なテーブルに置いて、ジェイドが足を組みかえる。 「なんていうか大佐…似合いすぎ、だよね…」 小さな声でアニスが言う。 「大佐…やはりスパでも眼鏡は外されないのですね」 「かえって周りが見えないのではありませんか?」 ジェイドの眼鏡はすっかり曇ってしまっている。 「まあ外しても視力には問題ありませんが、これは譜眼の制御用ですからね。うっかりはずしてスパごと吹き飛ばしてしまってもいけませんし。ははははは」 ジェイドは明るく笑うが、一同が苦い顔で黙り込む。ジェイドが言うと冗談ではないところが怖いのだ。 「それでは、私はこのあたりで」 椅子から立ち上がると、まだ湯に浸かっているルークたちに向けてジェイドが一礼する。 「あれ、大佐はもう上がっちゃうの?まだサウナもマッサージもあるんだよ?」 「私は初めてではありませんし。それにこの後…ちょっと野暮用もありまして」 「野暮用?」 それには答えず、ひらひらと手を振ってスパから出ていくジェイド。 その後姿を見送って、アニスがぶくぶくと口元まで湯に浸かりなおす。 「まあいっか…せっかくだし、ふやけるまで入ってよーっと」 「そうだな、英気を養うってやつだよな!なあルーク」 「ガイ…視線が他の女性に釘付けのまま言われても説得力がありませんわ」 「は、ははは…」 *** |