promised tune



「これで…あとはラジエイトゲートで、イオンが起動してくれれば…」
呟いて、ルークは肩で大きく息をする。
ルークたちの上に浮かび上がったいくつもの図形とフォニック文字は、アブソーブゲートのパッセージリングが無事起動した事を示していた。
浮かんでいるのは《待機中》を表す文字。
残るラジエイトゲートのパッセージリングが起動されると、大地の降下が始まる。
全てのセフィロトのパッセージリングを繋いでからというもの、小さな揺れが頻繁に起こっている。
「早く…このままでは力の流れが不安定になってしまうわ…」
「イオン様…まさか何かあったんじゃ…」
悲鳴のようなアニスの声。
今にも走っていきそうに、全身に力をこめて立っている。
「見てください、あの点は…」
「ラジエイトゲート!」
ナタリアの叫びに、ルークの声が重なる。
「降下が始まったようですね」
ジェイドの声も、どこかホッとした響きだ。
「あとはこれを安定させ続けなければなりません」
「がんばれよ、ルーク!」
「ご主人様、ファイトですの!」
ガイやミュウの声援を受けながら、ルークは必死にパッセージリングのバランスを制御していた。
ジェイドやティアの指示通りに、各地のパッセージリングに小さな命令を与え続ける。
すべて第七音素の、超振動の力を使用した書き込みであるため、時間と共にどんどん体力が奪われていくのを感じる。
――――もう少し…もう少しだ…
「あと少しよ。がんばって、ルーク」
「最後か肝心です。現在のところとても順調のようですが」
「わかってる、よっ…!」
汗が流れ落ち、腕がしびれてくる。
やがて押し寄せてきたひときわ大きな地響きが、魔界への外殻大地の着地を示していた。
「っ…!」
全てのセフィロトが無事に着地した事を確認すると、ルークは尻餅をつくように座り込む。
「やったぁ!」
「すごいですわ、ルーク」
「おい、ルーク?」
「ルーク!?しっかりして…!」
呼びかけられる声が遠ざかっていくのを感じながら、ルークの意識はそのまま闇に沈んでいった。




漆黒の世界。
闇と呼ぶにはあまりに深い、黒。
その中に、自分の身体だけが光を纏って浮かび上がるのを感じた。
「ここは…?」
夢を見ているように、五感すべてが頼りなく感じる。
平らな地面の上に立っているようにも、粘度の高い液体に浸っているようにも思える。
ルークはぎこちなく手を前に伸ばした。
一歩、二歩と足を進める。
何処に向かっているかもわからない。目を開けているのか、閉じているのかさえもわからなくなる。
ただ夢中で歩いていると、はるか先に闇ではない何かが見えた。
光と呼べるほど強い輝きではない。
しかし今はそれ以外に、目印となるようなものもない。
ただひたすらその方向へ向けて歩いて行く。
そしてその正体に気がついたとき、ルークは駆けだしていた。





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