promised tune



ユリアの血族か…これもまた縁と言うべきか…

「ローレライ?」
自分の身体から伸びる光を見上げ、ルークも驚いたように呟く。
「これが…いえ、この方がローレライ、なのですか?」
「こんなにはっきりと見えるなんて…」
「凄いですねぇ。まさか意識集合体≠この目で見る日が来るとは思いませんでした」
「見えるだけじゃなくて、声も…いや、これを声と呼んでよいのでしょうか」
ルーク以外にもローレライの姿が見え、言葉が聞こえる。
アクゼリュス崩壊の中、アッシュを通してローレライやユリアの姿を垣間見た事はあったが、こうして実際に対面することにジェイドでさえ感嘆の声を上げた。
「皆にも、見えてるのか…?」
「う…うん、ばっちり見えちゃってるよ…」
アニスにいたっては腰が引けている。
「ぼんやりと、といった程度ですが。私に第七音素の素養があまりないからか、皆に同じように見えているのかはわかりませんが」

この場所は特別な力を持っている。記憶粒子が音素を運び…私の姿を現すに足る音素量をもたらしているのだ

頷いたジェイドが、ローレライに向かって呼びかける。
「ローレライ、あなたに伺いたいことがあります。私の声は聞こえていますか?」
「大佐…」
「うっわー、大佐、度胸あるぅ…」

時間の許す限り応えよう。しかし私がこうして姿を現していられるのは、それほど長い間ではないだろう。

ジェイドの呼びかけに、ローレライは静かに答えた。
それが耳に届く声なのか、頭の中に直接響いているのかさえ判然としないジェイドだったが、気にせず問いかける。
「ルークやアッシュは時間を遡っていると聞きました。それはなぜルークたちだったのでしょう?」
ローレライは質問の意図を測るように、ジェイドを見たまましばし沈黙した。

私は…ユリアに捕らわれる際、私を二つに分けた。しかしそのどちらも、長い間捕らわれたまま時を繰りかえしていた…
ユリアが星の最期まで私を解放しないつもりでいる以上、それに対抗するには時間の流れに逆らい続けるしかない。
栄光を掴む者がやがてユリアの予言に対抗しようと、レプリカの作成をはじめ…結果的に聖なる焔の光が、その一方とはいえ私を解放するに至ったのだ。

「ではルークたち以外であっても、時間を遡る事は可能なのですね?」

私である第七音素は記憶を…時間を象徴する力。しかし誰でもその時間に干渉できるわけではない。
時間を歪め、穴をあけるだけの干渉が出来るのは第七音素を強くもつ者、超振動に関連する者に限られる。
人の子よ、例えばお前のように第七音素に対する素養が少ない者は、たとえ私がどれだけの力で干渉しても時間を遡る事はできないだろう。

「そうですか…では―――――」
ガイをはじめ他には誰一人声を上げない。
皆どこか緊張した様子でジェイドとローレライの対話を見守っていた。

これ以上の問いに答えることも容易いが、このアブソーブゲートのパッセージリングが少々不安定になりつつあるようだ。
何かをするのであればあまり余裕はないだろう。

しばらくしてローレライが発したその言葉に、一同は顔を見合わせる。
「行こう、今は降下を成功させなくちゃ…」
立ち上がるルークに、ナタリアは不安げに声をかけた。
「アッシュはどうするのです?」
「アッシュは死んでない」
きっぱりと、そう言い切る。
そう、まだこの身体は、一人分の音素しか持っていない。
ローレライの力のおかげで認識できる。寂しいほど隙間だらけの第七音素で形作られているこの身体を。
アッシュはきっと、まだ生きている。
ルークは顔を上げ、パッセージリングへと続く扉を見る。
その扉にはダアト式封咒が施されていなかった。本来ローレライの鍵で封印されているはずだったが、それすら解けている。
アッシュが言ったとおりだった。
「パッセージリングに行こう。イオンが…待ってる」




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