promised tune
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目を開けるがいい、聖なる焔の光≠諱c それが自分に向けられた言葉だと理解するのに、しばらく時間がかかった。 (違う、それはもう、俺の名前じゃねえ…) その名前は捨てた。いや、譲ったというべきか。 (俺と同じ顔のくせに、甘ったれで綺麗事ばかり口にする、あの馬鹿こそがルークだ。俺の名前は…) 自分の名前を口にしようとすると、何故かルークが思い起こされる。 泣きそうな顔。自分を呼ぶ声。約束。 (……!!) ハッと目を開く。 アッシュ…聖なる焔の礎≠ そこは金色の光に満たされた、今まで見たことのない景色。 掌を目の前にかざす。切りつけられた腕も、貫かれた腹も。血にまみれ、傷だらけになっていたはずの身体は、まるで戦いなどなかったかのように元に戻っている。 「ここは…何故、俺は生きている?」 (それともこれが死後の世界ってやつか?) アッシュは上空を見上げた。声のする方角。光の塊が、徐々に人の形をとる。 「どういうつもりだ、ローレライ」 …時は廻る。世界すらまた、己の生んだ呪縛に囚われている… アッシュの目の前に現れたローレライは、深くため息をついた。 私を解放してくれ。お前ならば… 「あいつが失敗したのか?」 ローレライの鍵があれば、ヴァンの身体からローレライを解放し、音素帯へ解き放つことができる。 ヴァンを倒せたなら…そうアッシュは聞いていた。他でもないローレライの言葉で。 それができなかったと言うのだろうか? 「あいつはどうなったんだ?…ルークは」 お前たちならば…この果てない世界の夢を終わらせることができる…そう信じよう 「答えろ、ローレライ!」 苛立つアッシュに、ローレライは哀しげな視線を向けた。 そう、二人でなければならない。鍵は、すでにその手中に… 言いながら、アッシュに向けて手を伸ばす。 次の瞬間、辺りは痛いほどの光に包まれた。 『目覚めたか…ふむ、顔色も異常ないか。さすが第一人者を名乗るだけあるな』 『ふん、当り前ですよ。ではまた三日後に検査に寄越しなさい』 『!?ここは…ここはどこだ?』 『慌てることはない。選ばれたのだ、お前は』 『師匠…?』 『お前こそが鍵。スコアという鎖に縛られたこの世界を、解き放つためのな』 『鍵?でも…帰らないと、母上が…皆が心配する』 『ルーク・フォン・ファブレ。それはもうお前の名前ではない。だからもう、お前はあの屋敷へ戻る必要などないのだよ』 『…戻れない…?』 『お前に新しい名をやろう。預言に読まれたくだらない役目などではない、お前の真の役割のために…』 『でも、俺は』 『私には…いや、世界にはお前が必要なのだ』 覚えている。この悲しみ。この苦しさ。 名前ごと失った、それまでの生活のすべて。 憎しみも寂しさも全部、力に変えてきた。奪われたものを、その力でいつか奪い返すと。 『さあ、私と共に来い。』 私の力を、託そう… 皆、勝手なことを言う。 それぞれの言葉の外に込める脅迫。 生か、死か。 そして、選んだのは… |